【小説『熱帯』森見登美彦】~”みみしっぽう”子供の頃独特の怖さ。

みみしっぽう

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 「今ではなんともないけど、子供の頃は無性にかった。」

あなたは、そんな経験をしたことはないでしょうか?

 僕の経験はこうでした。

幼い頃、近所にあったキリスト教

協会の西洋的な構造が、周囲の家々とは異なる雰囲気を放っていました。

夜になればガラス越しに見える室内から、非常口誘導灯の緑色の明かりだけが、ぼんやりと発せられます。

それだけでも不気味に思えたのですが、幼い僕の恐怖心を更に掻き立てたのがこれでした。

正門の上に表記されていた、”わたしがいのちのパンです。”というフレーズです。

「パンが喋ってるの?」

そんな疑問を思わせるこのフレーズは、内側から発せられるぼんやりとした緑色の光と、周囲から浮き立った西洋的な造りと相まって、目の前で口を大きく開けて待ち構えている異世界への入り口へと僕を誘っているようでした。

 熱帯』に登場する茶店の店主は幼い頃、みみしっぽう”というおばけろしくてたまらなかったようです。

そこから転じて、2階に”みみしっぽう”がいる気がするということで、階段をも怖かったそうです...。(^_^;)

 その”みみしっぽう”の正体は『熱帯』を読み終えた僕であっても謎のままです。

読後は、読む前よりも更に多くの謎が読者を待ち受けている

熱帯』はそんな小説

少なくとも僕は、そう思いました。(*^▽^*)

 

次回は、今村昌弘さんの『剣崎比留子シリーズ(屍人荘の殺人のシリーズ)』の第3弾の表紙と題名を予想して絵を描いてみます。(〃∇〃)

おったのしみに♪(*´∀`*)<