今回は、僕が観てきた舞台、「アラトゥイソの鯨へ」をご紹介します。
「アラトゥイソの鯨へ」カムイプロジェクト〜アイヌの神秘的な世界感がここに
少し遅れて入ったホールは、暗闇と舞台上のぼんやりとした光、そして物語の始まりを告げるようなテンポのいい囃子と掛け声に満ちていました。
この舞台の登場人物たちはアイヌの人々。そこでの人間ドラマや、カムイと呼ばれる生き物や物に宿る霊的存在とアイヌの関係を主軸に物語は進んでいきます。
屈強なアイヌの「ミンツチ」と、鯨のカムイ「ナウウクカムイ」の二役が主軸のこのお話し。海や山などの風景のアニメーションがスクリーンに映し出され、それとともに雄大で繊細な音楽、そして登場人物たちの表現豊かな動きが調和して、会場は終始別世界にいるような感じがしました。
クライマックスに向けて徐々に展開を踏んでいく「アラトゥイソの鯨へ」。最後は感動的なラストが待っていました。
アイヌを知らない人でも引き込まれる内容と演出
僕はアイヌ文化をあまり知らないままこの演劇を観ましたが、そんなことは関係ありませんでした。たしかにアイヌの言葉が頻繁に出てきて、どの言葉が何を意味しているのか整理がつかないところもありました。しかし、理解を深められる説明のようなシーンもあったり、それぞれのキャラクターがはっきりしていたり、「アイヌ文化」という少し難しいような違う国のような、そういった心の壁を優しくなくしてしまうようなユーモア。
会場には子供も多かったようで、ときどき子供の笑い声が劇を活気づけていました。
まとめ、最後に
物語が終わり、出演者全員が舞台上に集まり、拍手喝采が会場に響いたあと、明るくなった会場で僕はふとスマホを取り出し時刻を確認しました。すると、劇が始まってからまだ1時間と少ししか経っていないことがわかり、僕が今どれだけ濃い時間を過ごしたかがわかりました。
僕は今まで自分の意志で舞台を観るということがほとんどなかったのですが、今回ふとしたきっかけで「アラトゥイソの鯨へ」を観て、これからも舞台を、そしてそれ以外にもまだまだ知らない世界に足を運んでみたいと思いました。今回はそれへの良い一歩になりました。
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